千葉 2-1 北九州
コロナ禍による変則的なJ2リーグもいよいよ最終節を迎えた。今年はサッカーは無理かな、という状況の中で全42節を楽しませてもらえたのは、運営に尽力した全ての関係者、未曾有のハードスケジュールでプレイした選手達のおかげなので感謝したい。
北九州は41試合を終え勝点65で5位という好位置に着けている。得点58はリーグ4位という素晴らしい数字だが、失点49はリーグ10位と昇格争いをするにはもう少し守備の安定が欲しい所か。
千葉は15位という順位で最終節を迎えた。寿人と田坂のラストマッチ。そして現役続行を名言していた増嶋も一転引退を発表した。今日で現役を終える3人のためにも、そして今シーズンホームでなかなか勝利を見られなかったサポーターのためにも勝利が必要な試合だ。
スタメンは前節から5人を入れ替え。GKに章太。DFは右から増嶋、新井、鳥海、下平。ボランチに壱晟と小島。右に堀米、左にアラン。2トップにクレーベと船山。ベンチには退団する優也やラストマッチの寿人も控えている。
試合は6分、北九州のFKは章太がキャッチ。7分、鳥海のクリアをダイレクトで鋭いミドルを打たれるが章太がわずかに触り枠の外。11分、中央で奪われショートカウンターをくらいミドルを打たれるが章太がキャッチ。
17分に相手のバックパスを船山が奪いGKもかわしてシュートを打つがカバーに入った村松にクリアされてしまう。決定機だった。24分、壱晟が入れ替わられた所から中央を割られ強烈なミドルを蹴り込まれ失点。
32分、鳥海のパスミスからピンチを迎えるが壱晟がカットしカウンター。船山から左サイドのアランへ繋ぎ、アランがカットインから右足一閃。ゴールに突き刺した。これだよ、こういうアランが見たいんだよ。
41分、増嶋のクロスのこぼれをアランがキープし下平がシュートを打つもGKがキャッチ。前半の千葉は失点しても下を向かず同点に追い付き、スタッツ的にもほぼ互角だったが、守備では中央を割られる場面も多く機能していたとは言えなかった。
3人のラストマッチに花を添えた
46分、下平の長いFKのこぼれからアランがミドルを放つが惜しくも枠外。53分、壱晟がボールを奪いカウンター。堀米が中央に持ち込み船山へ。船山のシュートは右ポストに弾かれるが壱晟がダイレクトで蹴り込み逆転。寿人のゴールパフォーマンスでリスペクトを示した。
壱晟は点が取れるというのが大きな武器。それはシュートが上手いというだけではなく、点が取れるポジションにいるということだ。3列目にとどまるのではなく、チャンスがあれば積極的にエリアに入っていく。来シーズンは守備時の安定はもちろん、強みである攻撃により一層の磨きをかけて欲しい。
後半の千葉はいい守備でボールを奪い効果的なカウンターが出来ていた。55分には小島が堀米とのワンツーで抜け出しクレーベへ。決定機を迎えるがクレーベのシュートはGKにセーブされてしまう。
64分、堀米OUT、山下IN。76分、ピッチサイドでは寿人が交代を待つがなかなかプレイが切れず入れない。84分、船山OUT、寿人IN。クレーベOUT、川又IN。アランOUT、米倉IN。87分、寿人のクロスのこぼれを川又がシュートを打つがGKがセーブ。
94分、鳥海OUT、岡野IN。鳥海はいろんな思いがこみ上げたのか涙。そして最後まで集中を切らさず最終戦で3人のラストマッチに花を添えるホームでの勝利となった。後半は守備も修正し、効果的なカウンターも見られていい内容だった。
監督・選手コメント
尹晶煥監督
―― 今日の試合では、ずっと狙っていた“奪ってからのカウンター”という形で2得点を奪いました。それに対する評価は?
相手は前回対戦時から少し違う形を採っていましたが、今日に関してはカウンターがしっかり決まったと思います。また違う形でゴールを奪うチャンスもあったのですが、そこを決め切れなかった部分はもったいなかったですし、その精度をもっと高めなければならないと思います。
最後の試合でいい攻撃が見られたのは良かった。後は守備にしろ攻撃にしろ波をなくすこと。今シーズンは試合ごとに選手の入れ替えも多かったこともありなかなか安定しなかった。来シーズンは悪い時も悪いなりのサッカーで勝点を拾いたい。
佐藤寿人選手
―― ジェフに来て、佐藤寿人がチームに植え付けたものは?
植え付けられたかどうかはわからないですけれど、やっぱり、プロの世界は厳しいものであるということを若い選手たちには感じてもらえたんじゃないかと思っています。試合でいかに結果を出さなければならないかを常に意識して普段のトレーニングを行うこと。なかなかそういう意識を持つことが少ない、特に若い選手はそういう状況だったと思います。ただ、本当に、今日の試合で決勝ゴールを決めた(高橋)壱晟なんかは非常にいいものを持っていると思いますけれど、それをうまく発揮できずにいた時期もあって。ただ、本当に成長しているという実感と、もっともっと成長できると僕は思っているので。若い選手、未来のある選手がいるので、そういう選手がクラブを変えていくしかないと思うので。
(櫻川)ソロモンとかトモ(見木友哉)とか、タケ(本村武揚)とか、今シーズン難しい中でも出場時間を増やして、自分の特徴を発揮した選手もいます。また来季、新しいチームになる中で競争もあると思うけれど、そういう選手がどんどん出てこないとクラブの未来はないと思うので。若い時の自分はこのクラブでそういうチャンスを掴むことができなかったので、やっぱりこのクラブでチャンスを掴んで、このクラブに還元していくという選手がより多く増えていってほしいと思います。
重い言葉だ。若い選手達は偉大なレジェンドの言葉を胸に刻んで欲しい。