2019シーズン総括
ジェフ千葉の2019シーズンが終わった。最終順位はクラブ史上最悪のJ2で17位というまったく希望の見えないシーズンになってしまった。プレーオフ進出どころか残り2試合を残すところまで残留が決まらないというふがいない戦いぶりで、クラブはJ2に落ちてからJ1に復帰どころか緩やかにJ2の沼に沈み続けている。完全なるJ2下位のクラブとなってしまった。
今シーズンを振り返ってみよう。まずクラブは2018シーズンに一度も上位に浮上することなく14位という過去最悪の成績を残したエスナイデル監督を2019シーズンも続投させる決断をした。結果から言えばまずこの判断が大失敗だった。順位だけでなくそのサッカースタイルから守備が破綻しているチームを継続することを選んだ。
高橋GMはシーズン前に失点の多さを課題として挙げ、「エスナイデル監督は変わる選択をした」ということで監督を信じ続投を決めた。より現実的な守備にも配慮したサッカーをしてくれると思ったが、開幕から4試合で10失点、勝ちなしの21位という大惨事で、わずか4試合でエスナイデル監督は解任された。
4試合という早い段階で解任した判断は間違っていない。2017シーズンからやってきて、2019シーズンもチャンスを与えてこの結果なのだから解任は当然だ。ただ、ならばやはり2018シーズンが終わった段階で解任し、新監督を迎えてキャンプを行うべきだったし、わずか4試合で解任し後任監督に丸投げするというのはシーズンを難しくしてしまう。やはりエスナイデル監督を続投させたという決断は大失敗だったと言わざるを得ない。
そして江尻監督が就任したわけだが、まずは守備の修正に着手。3バックの採用などでテコ入れし、就任後5試合で2失点と失点は目に見えて減った。しかしサッカーは攻撃だけでは勝てないし守備だけでも勝てない。攻撃に比重を置き始めると失点も増えるというバランスに苦しんだ。攻撃のアイデア、バリエーションも乏しかった。
江尻監督には同情する部分もある。完全に守備が破綻し、極端な戦術を取り下位に沈んでいたチームをシーズンの途中で丸投げされるという難易度の高いミッションを与えられたのだから出来ることには限りがあっただろう。江尻監督の求める選手でキャンプから準備をした上で任せてあげたかったという思いもある。
その一方で、第5節で就任してから38試合という長きに渡って指揮を執ったわけだが、チームを向上させることは出来なかった。与えられた環境で結果を出せなかったというのも現実だ。最後の3試合も0勝1分2敗、無得点という失速したまま終えた。残留させたということで評価はしたくない。そこは最低限だ。江尻監督としても17位という最終順位は自分の理想からほど遠いだろう。
若手が育っていないというのもクラブの大きな課題として残っている。今シーズンで言えば戦力になりそうな楽しみな若手は見木ぐらいだろう。個人的にはレンタルで出している壱晟、弾斗、岡野あたりは呼び戻して千葉で育てて欲しい。特に壱晟には即戦力として大きな期待をしている。レンタル先でもくすぶっているようだが、2017シーズンに高卒ルーキーとして開幕スタメンを勝ち取ってから見せたプレイは可能性を感じさせるレベルの高いものだった。岡野や弾斗、大悟もまだまだ頼りなさはあるが、伸びてくるのはこれからだ。花を咲かせるのは千葉であって欲しい。
ジェフ千葉はどのようなクラブを目指すのか
ジェフサポの間では前田社長辞めろ、高橋GM辞めろという声もあるが、個人的には2人とも続投でかまわないと思っている。まず前田社長に関しては、そもそもチームの強化というよりクラブの経営をしっかりやってくれればそれでいいという思いがある。もちろんGMの人事など最高責任者は社長なので大きな責任はあるが、とにかく経営面の仕事をしっかりやってくれればそれでいい。札幌の野々村社長や長崎の高田社長のような役割は期待していない。
高橋GMに関しては監督選びに失敗した、そして続投の判断を間違えたというチーム低迷を引き起こした致命的なミスはあるが、選手補強に関してはまずまずといっていい仕事をしているし、新監督もユン・ジョンファン氏を招聘したことに関してはジェフサポの多くも不満はないだろう。高橋GMに対しては2019シーズンの自分の仕事、そしてチームの結果をどう捉えているのかの総括や反省、それを活かした2020シーズンに向けての展望などを求めたい。そこを整理し説明する必要がある。
ジェフ千葉にクラブとしての軸、芯のようなものはあるだろうか。理念と言ってもいい。監督の交代や選手の入れ替えがしっかりしたベースの上で行われていれば問題ないが、軸がなければブレてしまう。今シーズンを経て、来シーズンへの積み上げはあっただろうか。ユン監督になりサッカーのスタイルは変わるだろう。ユン監督は記者会見で「厳しい練習が必要だ」とコメントした。「プロ意識」「献身性」「犠牲心」「組織的」「試合の流れの把握」「体力配分」「攻撃のための守備」などのキーワードを挙げた。闘う集団になることを求めている。
2020シーズンへの準備はもう始まっている。