フアン・エスナイデル監督解任のお知らせ
エスナイデル監督が解任された。
成績から考えれば驚くことではない。4節での解任は早いが、昨シーズンの流れから言えばむしろ遅い。もうクラブもかばい切れないといった所だろう。しかし本来ならば昨シーズン終了後に解任し、新監督でキャンプからチームを作り新シーズンに臨みたかった。
それでもこれ以上続けても意味はない、もうこの監督の元での伸び代はないという状態だったので、このままズルズルとシーズンを無駄にするよりは早いタイミングでの解任はプラスに捉えたい。
14位という成績に終わり解任濃厚かと思われた昨シーズン、クラブはエスナイデル監督の続投を決めた。継続という決意を持っての決定だった。しかし高橋GM曰く「フアンは変わる選択をした」という中で、ホーム2試合で9失点、開幕4試合で勝ちなしの21位という状況であればクラブも動かざるを得ない。
新監督は準備もなく、怪我人の多い低迷するクラブを立て直すという難易度の高いミッションを任されることになる。しかし今が底であり、一つ一つ上に上がるだけという状況なので選手達にも気持ちを新たに伸び伸びとモチベーション高くプレイしてもらいたい。
フアン・エスナイデルとは何だったのか
あらためてフアン・エスナイデルの経歴を振り返ってみよう。選手としてのキャリアは一流だ。ストライカーとしてレアル・マドリード、サラゴサ、エスパニョール、アトレティコ・マドリードなどスペインでプレイした後、ユヴェントスやポルトでもプレイ。アルゼンチン代表キャップもあり実績は十分だ。
しかし監督としてはどうだろうか。2011年にスペイン2部サラゴサBで監督デビュー、2012年にはスペイン2部コルドバで終盤の9試合のみ指揮を執り、2015年にはヘタフェで終盤の6試合のみ指揮を執るも2部に降格。翌シーズンも続投するが成績不振で7試合で解任(監督を代えたヘタフェは立て直しに成功し1部に昇格)。そして2017年にジェフ千葉の監督に就任した。
千葉に来るまでも、監督経験はあるが実績はないというのがエスナイデルだった。J2でくすぶり続ける千葉に招聘する監督として適任だったのだろうか。結果から見れば失敗だったと言わざるを得ない。
何かを大きく変えなければJ1に上がれないと考えるのはわかるしその通りだろう。エスナイデル監督のあの眼力、顔力で「私なら変えられる!」とパシオンを込めて言われたら、この人ならと思ってしまうのもわかる。
しかし千葉就任初年度はともかく、2シーズン目は監督としての底も見えたし、3年目も任せるという判断は失敗だった。監督をコロコロ代えるのは良くない。それはその通りだ。我慢して継続する必要があるのもその通りだ。外からは見えないクラブの事情もあるだろう。しかしだからといって力量のない監督に継続させるのは本末転倒だ。
もちろんいい部分もあった。まずは熊谷を覚醒させたことだろう。エスナイデル監督は熊谷をアンカーに抜擢、チームの中心に据えた。しかし熊谷は失点に繋がるミスを連発。アランダや勇人がいるのになぜ熊谷?と思ったが頑なに熊谷を固定。その後の成長は言うまでもない。優也も何度も苦い経験をしたがGKとしての幅は大きく広がったはずだ。
自分達が試合を支配し主役になるという攻撃的サッカーを掲げるのも悪くない。5バックでベタ引きカウンターよりは、2点取られても3点取る殴り合い上等サッカーは好きだ。しかしエスナイデルサッカーは2点取っても3点取られるサッカーだった。ボールは支配するが、試合は支配されるサッカーだった。
どんな負け方をしても会見で選手のせいにするようなことはなかったし、クラブを離れる選手が少なかったことからも、人間的にはいい兄貴としての魅力があるのかもしれない。その一方で不可解な干され方をしたりぶつかる選手もけっこういたけどね。
残念なのは若手がまったく育たなかったことだ。北爪は横浜FCに完全移籍後に能力を開花。千葉の未来を背負ってほしい壱晟はエスナイデル監督就任直後こそ試合に出たが期限付き移籍し、岡野や弾斗といった期待の若手も期限付き移籍した。彼らは移籍先でも試合に出られていないので危機感を持ってプレイし、結果を出して千葉に戻って来て欲しい。
この2年ちょっとでクラブに何が残っただろうか。今後への積み上げは出来ただろうか。まだシーズンは始まったばかりだ。とても昇格と言う言葉を口に出来る状況ではないが、新たなスタートを切る新生ジェフ千葉のサッカーに期待したい。